政府は2022年に閣議決定した「国家安全保障戦略」で、自衛隊・海上保安庁が平時の訓練や有事の展開などに民間の空港・港湾を円滑に利用できるよう、公共インフラを整備・強化する方針を打ち出しました。2023年から制度の具体化が進められ、2024年以降、全国の民間空港・港湾を「特定利用空港・港湾」に次々と指定。2025年度からは、自衛隊の駐屯地などと空港・港湾を結ぶ道路も対象となりました。そして2026年、国は大阪府に対し、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹空港)、堺泉北港を対象候補として検討しているとし、7月には、箕面市を含む伊丹空港周辺自治体に説明を行いました。



「特定利用空港」とは、国と空港管理者が「円滑な利用に関する枠組み」を設け、自衛隊や海上保安庁が平時から訓練、人員・物資の輸送などに利用しやすくし、有事の利用も想定して施設整備を進める仕組みで、戦闘機や輸送機による離着陸訓練なども想定しています。
伊丹空港は住宅地に囲まれ、午前7時から午後9時までの14時間に、1日最大370回もの民間機が発着。長年の住民運動によって運用時間や発着回数の制限、防音工事などが実現しましたが、今も騒音に悩む地域があり、問題は解決していません。

私自身、空港に近い豊中市立蛍池小学
校で働いていたことがあります。校舎には、騒音に対応するため、防音サッシや空調設備などが整備され、窓を閉めて授業を行えるようになっていました。しかし、防音された校舎の中だけで学校生活が完結するわけではなくて、校庭で遊ぶ時間、体育の授業、登下校中など、屋外の騒音まで防音サッシで防ぐことはできていません。そこへ通常の旅客機とは性質の異なる戦闘機などが飛来すれば、子どもたちを含む住民に、新たな負担を押しつけることになります。
絵本『パパ ママ バイバイ』をご存じですか?1977年、厚木基地を離陸した米軍機が横浜市の住宅地に墜落し、幼い兄弟とその母親の命が奪われた事故を描いた絵本です。私は子どもの時にこの絵本を読んだとき、本当に怖く、つらい気持ちになりました。軍用機事故が、何の関係もない市民や子どもたちの日常を一瞬にして奪うことが、実際に起きている…、住宅地に囲ま
れた伊丹空港でも、絶対に起こらないと言いきれるでしょうか。8月18日には、軍民共用の那覇空港で航空自衛隊のF15戦闘機が着陸時に主脚を損傷し、滑走路が4時間以上閉鎖となり、民間便の欠航や遅延が相次ぎ、約7千人に影響しました。軍事利用が民間空港の安全と運航に影響を及ぼし得ることを、現実が示しています。
吹田市や宝塚市などは、国から受けた説明と資料をホームページで市民に知らせていますが、箕面市は積極的な情報提供をしていません。安全保障について様々な意見があることは承知ですが、「防衛のため」「災害対応のため」という言葉だけで、住宅地の中にある民間空港の軍事利用を既成事実化してよいはずはありません。空港、港湾、道路へと対象が広がる動きを見ると、「戦争のできる国」へと形を変えていく流れに思えてなりません。これは、防衛の必要性を認めるか否かだけの議論ではなく、市民の命と暮らしに直結する方針を、誰が、どのような手続きで決めるのかという民主主義の問題です。箕面市は直ちに国からの説明内容と資料等を公開し、市民の声を聞くべきです。そして、住民の暮らしと安全を守る立場から、伊丹空港の特定利用空港化に明確に反対すべきだと思います。





  

(後援会ニュース9月号より)